W杯予選初戦ドローでもハリルホジッチに期待できるワケ (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Takahashi Manabu

 このところの日本代表のマッチメイクには“緩さ”が感じられるだけに、国内組だけで行なうキャンプやテストマッチの実施なども含め、ハリルホジッチ監督にはどんどん日本協会の尻を叩いてもらいたい。

 現在チリで行なわれているコパ・アメリカ(南米選手権)にしても、1年ほど前に時計の針を戻せば、日本代表はこの大会に招待されていたのである。しかし、日本サッカー協会は(理由はともあれ)自らの意思で出場のチャンスを放棄した。もし、その当時からハリルホジッチが監督だったら、多少メンバー選考に制限があったとしても出場を熱望したのではないか。

 そして何より、ハリルホジッチの姿勢で好感が持てるのは、あくまでも3年後のワールドカップ本番を見据え、若手の起用に積極的なことである。それこそが、経験のある選手を中心にメンバーを固定したザッケローニ元監督、アジアカップでその顔ぶれを引き継いだハビエル・アギーレ前監督との決定的な違いだ。

 ハリルホジッチが今回招集したメンバーを見ると、全26名(途中離脱した川又堅碁、清武弘嗣を含む)のうち、実に半数以上の14名がロンドン五輪世代(1989年以降生まれ)。初の公式戦となったシンガポール戦でピッチに立った14名に絞っても、半数の7名がこれに該当する。ここまでロンドン五輪世代が日本代表で勢力を拡大するのは初めてのことだ。

 しかも、ロンドン五輪世代のなかでも最年少年代にあたる23歳の宇佐美貴史、柴崎岳を主力に据えた。

 まだ守備面に不安のある宇佐美、柴崎を起用することにはリスクもある。だからこそ、歴代監督は彼らを重用しなかった。宇佐美に関して言えば、日本人離れした得点能力を有しながら、これまでの監督には見向きもされなかったと言っていい。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る