まだ化ける。なでしこがW杯を勝ち切るための「伸びしろ」 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 その闘志は開始6分、鮫島のゴールという形で現れた。右サイドの近賀ゆかり(INAC神戸)が攻撃のスイッチを入れると、川澄奈穂美(INAC神戸)がクロスを配給、スルーしようとした大儀見優季(ヴォルフスブルク)の足に当たったボールの軌道がわずかに変わり、完全にフリーとなっていた鮫島がツメた。

「あの(ゴールエリアの)中にいればこぼれてくる」(鮫島)と狙い通りのゴールだった。もともと攻撃意識の高い鮫島。今シーズンはその動きがゴール前へと中央寄りに幅が広がっていたからこそ取れたポジショニングと読みは完璧だった。

 続く17分には、ショートコーナーから宮間あや(湯郷ベル)のクロスに角度のないところから安藤の代わりにスタメンを任された菅澤優衣香(ジェフL)が頭で押し込んで追加点。34分には右サイドで川澄、菅澤、近賀と小気味よくパスをつないで、最後は宮間がDF裏へ、タテパスを送る。走り込んだ大儀見は惜しくも一歩及ばなかったが、足元につけばゴールを描けた攻撃だった。と、ここまでは日本の理想とそう違わぬものだった。しかし、ここから異なる展開へと向かっていく。

 カメルーンが特に難しいことをしてきた訳ではない。けれど、日本のパスミスをすかさず拾い、タテへ転じる徹底したカウンターは、カメルーン持ち前のフィジカルを際立たせるものだった。日本陣営は、攻め入ってくるカメルーン攻撃陣に次第に追い詰められていく。特に後半に至っては、日本は自陣からほとんど出ることが出来なくなり、終了間際にカウンターから失点を喫してしまった。

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