本田圭佑の言葉に見つけた「世界に勝つためのヒント」 (4ページ目)

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi  山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

「ブラジル人選手ってパスを回す技術がうまいと思われているけど、実はカウンターの技術が本当にうまい。ふたりぐらいでシュートまで確実に持ち込んでいく。誰がどこに走り、どうマークを引きつけ、そしてフィニッシュまで持ち込むか、その流れに淀(よど)みがない。個人戦術というか、グループ戦術が子どものころから染みついているんだと思う」

『自由奔放なサッカー』の代表的な存在であるブラジルであっても、実は、個人個人が共通するセオリーやパターンを身につけている。だから、即座に同じ絵を描けるのだろう。

 そこで思い出したのは、岡田武史氏(元日本代表監督)の言葉である。「なぜ、FC今治のオーナーになったのか」と問われた岡田氏は、講演やインタビューの場でこんな風に話していた。

「ブラジルW杯の後、日本がなぜ勝てなかったのか議論している中で、あるスペイン人コーチに、『日本にはサッカーの型がないのか』と言われた。自由に見えるスペインだが、16歳までに型をマスターさせ、その後で自由にやらせるという。型と言っても、型にはめるという意味ではなく、共通意識を持つというニュアンス。まず基準があり、そこから自由に動き出す」

 さらに続ける。

「アジアカップのヨルダン戦で本田が得点したが、岡崎が左サイドからシュートを打ったとき、本田も走り出したのでゴールになった。ところがUAE戦で同じ状況になったとき、今度は本田が走っていなかった。つまり、ヨルダン戦はたまたま入ったということ。『このタイミングであのゾーンを取ったら、逆サイドも同時に走り出す』といった共通認識の型を作る――これが『岡田メソッド』で、それをFC今治でやってみようと」

4 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る