本田圭佑の言葉に見つけた「世界に勝つためのヒント」 (2ページ目)

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi  山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 意識改革は、たしかになされた。

 となれば、次はその精度が問われることになる。

 4ゴールがすべて素晴らしいものだったのは間違いないが、「もう少し点が取れたとも思う」と指揮官も指摘するように、チャンスの数はゴールの倍ぐらいあったのもたしかだ。

 そのひとつとして挙げられるのが、後半16分のシーンだ。

 コーナーキックをキャッチしたGK川島永嗣が素早くリリースし、香川真司がドリブルで敵陣へと攻め込んでいく。その左側から宇佐美が、右側から本田が、さらに右の奥から岡崎が一目散に猛ダッシュする。イラクのゴール前、日本4人対イラク4人の状況から香川が本田へラストパス――。ところが、パスが後方にずれ、シュートには至らなかった。

「あれって口で言うほど簡単ではなくて、ああいう練習を実際に普段の試合までのプロセスでやらないと、ダメだと思うんですよね」

 その場面を振り返って、本田が言う。

 そして、続いて発せられたのが、冒頭のコメントだった。

「たぶんそんな練習をしているチーム、世界のどこを探してもないと思うんですよ。でも、それをやらんとダメなんです。全員がトップスピードで走っているわけで、練習で8割ぐらいの力で走ってやっても、本番では100パーセントでやるんだから、合うわけがない。で、そこを、『次、合わせます』って言えるほど簡単な作業でもない」

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