イラク戦大勝だからこそ考えたい、ハリルJの問題点 (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Fujita Masato

 後半21分、香川はそのポジションを原口元気に譲った。そして原口は、後半39分、待望の4点目を挙げた。日本はよい終わり方をした。思い切り喜べそうないい勝ち方をした。だが原口は1トップ下に相応しい選手だろうか。香川のライバルになる存在だろうか。他に出場すべきポジションがないので、無理矢理そこで起用された。これが普通の見方だと僕は思う。

 日本の1トップ下は人材難。そう言っていい。他に可能性があるのはせいぜい本田ぐらいだ。宇佐美も香川より“らしい”プレイはできそうだが、やってできないことはないという程度だ。武藤嘉紀もしかり。

 思えば、つい何年か前まで、日本にトップ下候補は数多くいた。誇張を交えれば、中田英寿、小野伸二、中村俊輔等々、いいな、巧いなと思う選手の大半はトップ下だった。藤田俊哉など、相当な力量を持った選手でも、代表に定着できなかったほどだ。

 当時と今とではトップ下の概念が変わったことは確かだ。当時が2トップ下だったのに対し、現在は1トップ下。ゲームメーカー色よりアタッカー色の強い選手が、はまり役と言われるようになっている。とはいえ、その激減ぶりには驚くばかりだ。余るほどいた10番候補は、どこへ消えてしまったのか。年代別のチームを見渡しても、育っている様子はない。

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