イラク戦大勝だからこそ考えたい、ハリルJの問題点 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Fujita Masato

 だが、攻撃にはもう一本ルートがある。真ん中だ。そして、その高い位置でプレイする1トップ下には、仕上げをする役割がある。まさに細かい技術が不可欠になるが、香川はそこに問題を抱えている。

 変幻自在ではない。身体を正面に向けながらのプレイばかりだ。直線的で単調。一本調子なのだ。横を向いたり、相手に背を向けたりしながらプレイすることを、きわめて不得意にする。

 なかなかシュートに持ち込めない理由でもある。後半7分。中央やや左を突き進み、あとはシュートのみというシーンがあった。だが、彼はGK正面に弱いボールしか蹴れなかった。相手ディフェンダーにコースを完全にふさがれてしまったのだ。シュートコース、シュートポイントを作れずにフィニッシュを迎えた。動きが真っ直ぐすぎるからだ。

 真ん中は360度の世界と言われる。180度の世界でプレイするサイドアタッカーより、四方を見渡す目、広い視野が必要になる。だが、香川の視野はほぼ進行方向60度程度に限られる。リズムも同じだ。速さはある。鋭いドリブルもある。だがメリハリがない。したがって相手に行動を読まれやすい。スペースがある場合はともかく、先が詰まっている場は、効果的な働き、相手が嫌がる動きができなくなる。

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