日本代表メンバー発表。永井謙佑、今野泰幸はなぜ外れたのか (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 中西祐介/アフロスポーツ●写真

 ポルトガル人スカウトは太田のプレイを見て、そう分析していた。もっともな話なのだが、実はこのコンバートには難しさがある。相馬も太田も、サイドバックから持ち上がったところで上げるクロスに強みがあるが、スピードが必要条件となるサイドアタッカーは合わない(クロッサーの太田を一つ前のポジションに配置し、ストロングヘッダーの豊田陽平、川又堅碁をセットで使うのは一案だが)。

 ポジションの適性と適応は、プロサッカー選手の永遠のテーマである。

 前日本代表監督であるアルベルト・ザッケローニは、ボランチを務めることが多かった今野をセンターバックとして重用していた。チームの基本戦略として、「高い位置でボールをつなぎ、攻撃する時間をできるだけ多くする」という明確な理由があったからだ。センターバックには相手の攻撃を跳ね返すよりも、攻撃の一歩となることが求められ、最終ラインを高く保つために走力も不可欠だった。

 その点、今野はセンターバックとして機能しているように見えた。2011年アジアカップで優勝し、W杯アジア予選の主力を担った。アジアレベルではザックジャパンになくてはならない存在だったと言える。しかし世界を敵に回したW杯本戦では、チーム戦略における“代わり”だった事実をさらけ出した。

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