今野泰幸が語る「ハリルホジッチと歴代監督の比較論」 (4ページ目)

  • 佐藤俊●取材・文 text by Sato Shun photo by AFLO SPORT

「この人、本気だな。言ったことは全部やるなと思いました。少しでも要求したことができなかったり、監督の趣旨に沿わないことがあると、すぐにふるい落とされる感じですからね。しかも『常に見ているぞ』とプレッシャーをかけてくる。

 実際、Jリ-グの試合はもちろん、練習への取り組み方も見ているし、普段の生活や食事もチェックしているので、気が抜けない。さらに『いい選手がいたらすぐに入れ替えるぞ』と言われる。そういうのを最初にガツンと言われたんで、そりゃ、やらなきゃと思いますよ。

 ザッケローニ監督の時はメンバーが固定されて、安心感みたいなものがありました。ハリルホジッチ監督の代表はサバイバル。生き残るのが本当に大変ですし、逆に選手は活躍すれば代表への道が開ける。厳しいけどフェアに見てくれるので、それは選手にとって大きなモチベーションになりますね」

 ハリルホジッチの初陣となったチュニジア戦は2-0、ウズベキスタン戦は5-0で快勝した。短期間の合宿で結果も出た。だが今野は、この勝利に浮かれてはいけないと警鐘を鳴らす。

「親善試合で大勝すると、もちろんうれしいし、ホッとしますよ。試合に出ている選手は、試合内容が良くて、点が取れて、失点ゼロで終わればより充実感があると思う。でも、最近思うのは、これで満足しちゃダメだってことです。

 代表で生き残っていくため、世界と互角以上に戦えるようになるためには、個人の反省点やチームの課題を探して、さらにプレーの幅を広げていかないといけない。ブラジルW杯であれだけやられたんだから、日本はそのくらいしないと世界に近付けないですよ。監督はそれを分かっている。だから、僕たちにいろんなことを要求してくる。めちゃくちゃ大変ですけど、逆に『やってやろう』と思っています」

 チームを強くするために選手に多くを要求し、実行することを求める。厳しい規律で全体を管理する。「ハリル軍曹と仲間たち」は世界基準を目指し、今、代表改革に取り組んでいる。
(つづく)

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