今野泰幸が語る「ハリルホジッチと歴代監督の比較論」 (2ページ目)

  • 佐藤俊●取材・文 text by Sato Shun photo by AFLO SPORT

 日本は昨年のブラジルW杯で惨敗し、1月のアジアカップではベスト8で敗退。また、U-16やU-19などのカテゴリー別代表はアジアで勝ち抜けない状況が続き、U-17W杯とU-20W杯への出場を逃している。閉塞感がある日本サッカー界には、こうした明確なビジョンと厳しい規律を持つ監督が理想的だと今野は思っていたのだ。

「やっぱり、ブラジルW杯の惨敗ってすごく大きいんですよ。ザッケローニ監督のパスサッカーで世界と勝負しようと4年間やってきて、ある程度の手応えを感じて本大会に行ったら惨敗した。その時、選手はどうしたらいいんだろう、どうやったら世界と戦えるんだろうとすごく迷ってしまった。しかも、再スタ-トを切ったアジアカップも負けてしまったので、本当にどうしたらいいのか何も思いつかなくなってしまった。世界への道が閉ざされた感じがしたんです。

 そんな時、ハリルホジッチ監督がどうやったら世界と互角以上に戦えるのか、道を示してくれた。こういうサッカーをしていこうという信念を感じたし、『ここが日本の弱点だ』とハッキリ言ってくれたんです。個人的にも話をしてくれるし、ダメなものはダメと指摘してくれる。いい監督がいいタイミングで来てくれたなと思いましたね」

 ハリルホジッチは、チーム内に自分の哲学を浸透させていく手法も独特だった。3月の代表合宿の際、選手ひとりひとりと個人面談を行なった。それ自体異例なのだが、ミーティングをポジション別にして、細分化して必要なことを伝えるなど、そのやり方は過去の代表では見られないほどきめ細かいものだった。

「個人面談、僕はなかったですね。ウズベキスタン戦が終わって、『もっとこうしろ』と言われるのかなと思ったけど、『もうケガするなよ、いつも見ているからな』というぐらいで、ほかには何も言ってくれなかった(笑)。僕自身は言われると燃えるタイプなので、ガツンと言ってほしかったですけど。

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