識者選定。ハリルジャパンに最も適合する「ベスト11」

  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu

重要視されるのは、球際の強さと前への推進力
杉山茂樹(サッカージャーナリスト)

杉山氏が選出したメンバー。杉山氏が選出したメンバー。 ハリルホジッチ監督になって、布陣は「攻撃的」と言われるものになったが、選手たちの精神がそれに伴っていない。とりわけ、ハリルホジッチ監督は、選手個々の「球際の弱さ」を指摘している。

 その原因は、攻撃的なサッカーとは何か――日本サッカーがその意味を中途半端にとらえてしまった"弊害"にあると考えていい。それはつまり、高い位置でボールを奪う気迫に欠ける、推進力に乏しいサッカー。結局、日本サッカーの問題は、球際での強さと密接な関係にある、攻撃的サッカーの中核を成すプレッシングの追求を怠ってきたことにある。

 そうした"悪しき伝統"を払拭(ふっしょく)したいハリルホジッジ監督とすれば、ボールを追えないアタッカーは、特に強者を相手にしたときには、先発から外れる可能性が高い。それで言えば、宇佐美貴史と武藤嘉紀を比べた場合、先発候補は武藤となる。宇佐美は交代出場が妥当と見る。

 球際での強さにおいて、基本的に高いレベルにあるのは、本田圭佑。全盛期よりは落ちているが、それでも日本代表にあっては上位。スタメンから外れることはないだろう。

 岡崎慎司、川又堅碁、永井謙佑、小林悠は、プレイそのものは巧くはないが、球際の力に加えて、タテへの推進力もある。おかげで、監督のお眼鏡にかなった選手と言えるのではないか。反対に、巧さはあっても、強さに欠ける、香川真司(ドルトムント/ドイツ)、乾貴士(フランクフルト/ドイツ)、清武弘嗣(ハノーファー/ドイツ)らは危ない。そういう意味では、売り出し中の柴崎岳も同じ。やや物足りなさを感じる。

 中盤で光るのは、今野泰幸だ。ボール奪取力は、この選手がピカイチ。ケガのため、所属するガンバでは試合に出場していなかったにもかかわらず、3月の親善試合で招集された理由はそこにある。ただし、32歳という年齢を考えると、31歳の長谷部誠との併用は難しいところ。

 そこで、注目されるのは、若手の中では力が抜けている大島僚太。ハリルホジッチ監督は、「まだ試してみたい選手が何人かいる」と語っているが、彼もそのひとりではないか。

 今野同様、負傷で所属チームの試合には出ていなかった内田篤人も、有力な先発候補。個人的には、守備的なMFとしても試してみたい選手だ。まったく同じことは長友佑都にも言える。そのボール奪取力を、真ん中のポジションでも見てみたい。

 親善試合の2試合で、新顔で目立っていたのは、藤春廣輝。前への圧力のかけ方がいい。

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