3連勝もリオ五輪は大丈夫か。手倉森ジャパンの大問題 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 どこがよくないサッカーなのかと言えば、ボールの奪われ方になる。真ん中で頻繁に奪われるので、日本選手はそのたびに意外なタイミングで背後を突かれる。相手は瞬間、身体を入れ違えるように前進していく。日本選手の真後ろを、反動を利用しながら突き進む。逆モーションで、だ。

 シマッタ。ヤバイ。マズイ。日本選手の焦る様子が、手に取るように伝わってくる。一瞬、パニックに襲われることになる。ベトナム、マレーシアという弱者に対して、失点を招きやすい状況になる。相手のレベルが上がれば、その危険はさらに高まる。

 サイドを使え、とはよく言われるが、それは「ボールを奪われるならサイドで」という意味でもある。真ん中とサイド。奪われる場所が同じ高さなら、サイドの方が何倍もいい。真ん中より自軍ゴール前までの距離は遠い。身体の真後ろを、反動を利用するように、突かれる心配は減る。

 手倉森ジャパンは、そこのところの追求が思い切り甘い。奪われてはいけない場所で、本当に平気でボールを失う。それではダメだと、監督から指示が送られている様子もない。そこに問題意識を抱いているようにさえ見えないのだ。

 採用する布陣は4−2−3−1ながら、その3の両サイドが布陣通り、外に開いて構えている時間はごくわずか。実際の布陣は、ジーコジャパン、あるいはその昔の加茂ジャパンが使った中盤ボックス型4-4-2。4分割表記にすると4−2−2−2と変わりないものになる。逆Tの字。中央せり出し型。俯瞰で眺めると、そんな感じにも捉えることができる。

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