日本サッカー界は今、いい意味で混沌としている (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki  photo by AFLO

 ハリルホジッチの本心は、次戦を見れば分かるだろう。宇佐美がそこでどんな使われ方をするか。先発を飾るのか、否か――。

 宇佐美だけではない。再度招集されるのは誰か。次戦への興味は膨らむばかりだ。今回、25人選ばれたフィールドプレイヤーは、自動的に5人減ることになる。外れるのは誰か。残るのは誰か。試合後の会見でハリルホジッチは、「さらに何人か気になる選手がいる」と述べている。ハリルホジッチのことなので、彼らはメンバー入りするだろう。となれば、落とされる人数はさらに増える。

 これまで、新監督が就任すれば、我々は真っ先にそのサッカーの中身について言及しようとした。戦術、サッカーゲームの戦い方の傾向について、ああだこうだと語ろうとした。だが、今回はそうした感じではない。選手をたくさん使おうとする監督の姿勢に、何より目を奪われる。

「奪ったら早く」とか、「ボールをアグレッシブに前に運べ」とか、日本の欠点をビシッと鋭く突く姿にも納得させられるが、それ以上に、新しい選手を多く使うことで生まれる活気にワクワクさせられる。

 さらに言えば、記者会見で発せられるパンチの効いた言葉の数々にも頼もしさを感じる。自信の程がうかがい知れるのだ。難問山積の日本サッカー界に、彼はどれほど切り込んでいけるか。動かぬ石は動くのか。楽観的にはなれないけれど、興味深さはこれまでにないほど覚える。過去の代表監督の中で一番。思わずそう言いたくなってしまうハリルホジッチなのだ。

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