スター軍団から2部チームへ。元ヤングなでしこ田中陽子が下した勇断

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 納得のいくプレイができなかった3年間で培ったこともある。今、田中はそれを武器にノジマに新たなエッセンスを加えようとしている。

「1-1の強さっていうか、DFでもただ行くんじゃなくてしっかり潰すっていうプレイや、考えながらプレイするのはずっとINACでやってきたので、ただサッカーをするんじゃなくて、考えてチームでしっかりまとめてやることっていうのは伝えられる。今、自分はゲームを組み立てる中でたくさんボールに触らないといけないんですけど、そのときに口で言うだけじゃなくて、こうしたいっていうのがあったら自分でそこに行ってプレイで示すってことが大事なのかなって思います」

 失っていたピースを拾い集めるように、日々の練習でひとつひとつを発見し、吸収していくことが楽しくて仕方がないようだ。今や、田中は新加入選手でありながら、得点源であり、チームの中心選手となっている。そんな立場にあることを本人も自覚している。

「上に立つ人とか、エースって立場の人は、そのチームの色を作ると思うんです。しっかり周りも見えてないとダメですよね、影響力があるから。練習試合でも、今は自分が一番点を取っているので、そういう意味では、自分がそこに近いんだと感じています。だからこそ、間違えられない怖さっていうのもあります。押し付けてもダメだし、でも同じ方向にまとめることも必要。自分は言葉でっていうよりもプレイで示すタイプだから、難しいですよね。これは今後の課題です。でも、キャプテン(尾山沙希)がしっかりしててみんなから尊敬されてて、でもちょっと抜けててっていういい人なんです(笑)。彼女がいてくれるので、だから彼女を通じて言ってもらったり......彼女がいないと自分は何もできないかも(笑)」

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