諸刃の剣!? ハリルホジッチ監督の3つの不安材料 (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi photo by Reuters/AFLO

 時として権威主義的とも言える彼の厳格さは、結果が出ている時は高く評価されるが、結果が出なければ高圧的に見えてしまい、批判の的となりやすい。彼と親しかった当時の会長も当初は擁護に回っていたが、チャンピオンズリーグでグループ最下位、国内リーグでも中位に低迷する状態が続いたことで、ついに2005年2月に見切りをつけるに至った。

 もっとも、当時のPSGには移籍を巡るフロントの汚職、ずさんな経営体質、サポーターのボイコット、スタジアムの治安悪化など、夥(おびただ)しい数の事件が続いていたため、彼だけが批判の対象になったわけではない。また、金銭的な理由で一向に補強が進まないことについて彼がフロントを痛烈に批判し始めたことも、理解できないわけでもない。

 しかし、そういった外部的問題があったにせよ、相手が誰であろうと自分の意見や信念は絶対に貫き通すという彼のスタイルは、一旦ネガティブに作用すると負の連鎖が止まらない傾向があることは知っておくべきだろう。日本サッカー協会が、諸刃の剣でもある彼の指導スタイルを理解したうえで白羽の矢を立てたのなら問題ないが、もしポジティブな面だけを見ているのであれば、場合によっては飼い犬に手を噛まれることも覚悟しておいた方がいいかもしれない。

 その他にも、今後に向けた不安要素はいくつか浮かんでくる。たとえば、彼がヨーロッパの第一線から離れてもう10年近くが経過している点もそのひとつだ。PSGを追われてからの彼は、トルコ、サウジアラビア、コートジボワール、クロアチア、アルジェリアと、フランス国外を転々とした。

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