アルガルベ杯惨敗。なでしこの「修正力」はW杯に間に合うか (4ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 時折見られた宮間あや(湯郷ベル)がタテに走り込んだり、有吉が中に入り込む動きなど、イレギュラーなプレイを数多く生み出すことができればいいアクセントになるはずだ。攻守において、"立ち返る場所"はなくてならないもの。

「長くやってる仲間でも普段違うチームでやっていれば感覚のズレは出てくるもの」(熊谷)

 それは成長の度合いによっても同じだ。互いの成長をまだ完全に理解していない今、現なでしこバージョンの"立ち返る場所"を早急に構築しなければならない。まずはそこからだ。

 何度も映像を見て、話し合い、次へ生かす――日本の強みはこの修正力だ。ただ、この力を試合中に発揮できなければ相手の変化には対応できない。巧みに改善をしてきたフランスに対し、同じリズムでしか対応しきれなかったことは悔やまれるが、これも佐々木則夫監督の言葉を借りれば「フランスからの洗礼」であり、「今のチームの現状」(大儀見)と受け止め、持ち前の"修正力"で次へ生かすしかない。

「できないことをあやふやにしないで、全部出し切りたい。できないことをなんとなくできる......ってことにしてしまってはもったいない」と自らへの戒めを込めて語ったのは宇津木瑠美(モンペリエHSC)。

 できないことを認めた上で新たな打開策を練る。いつだってなでしこたちはそうして世界と戦ってきたはずだ。4年間それぞれに積み上げたものを完全に組み合わせるには絶対的に時間が足りていない。それでもやるしか道はない。

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