アルガルベ杯惨敗。なでしこの「修正力」はW杯に間に合うか

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 バタつきを見せたのはフランスの方だった。ゴールゲッターであるE・ルソメルの動きをチームメイトである熊谷がシャットアウト。時折食らう右サイドのK・ダリのカウンターに対しても、左SBに抜擢された有吉佐織(日テレ・ベレーザ)と川澄奈穂美(INAC神戸レオネッサ)が二人がかりで懸命に食い下がった。

 もちろん我慢の時間もあった。ケアしていてもサイドからボールを入れられた際には、中央でCBのみならずボランチ、逆サイドバックなど総動員で囲んだ。守備は完全に日本の形にハマっていた。だからこそ、前半43分、欲しかった先制点が日本に生まれた。パスカットをした大儀見優季(VfLヴォルフスブルク)から始まった攻撃は、スタメンのチャンスを掴んだ菅澤優衣香(ジェフ市原・千葉レディース)がプレスを受けながらも粘ってキープ、最後パスを受けた川澄のダイレクトシュートが、豪快にネットを揺らした。得意のショートカウンターの中に個の戦いを制した強さとコンビネーションが合わさったいい攻撃だった。

 ところが、後半は驚くほどなでしこが変わってしまった。いや、変わったのはフランスで、変われなかったのが日本だった。ここに両者の大きな差があった。ハーフタイムに修正を完了させたフランスは後半、見違えるほどのプレッシングを見せてきた。

 同点ゴールは後半8分。ゴールエリア内に侵入してきたL・ブローを倒してしまった近賀ゆかり(INAC神戸レオネッサ)のプレイがまさかのPKを取られ、これをG・ティネに決められた。この失点は事故のようなものであったが、その後の失点がいただけなかった。

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