ポルトガルに完勝。サブ組が示した「なでしこ本来の姿」 (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 そんな宇津木がデンマーク戦の翌日、あえて明るい表情を見せた。

「日本人は外国の選手よりもはるかに気が利くプレイができるし、本当に上手いんです。代表に呼ばれるってことはみんな上手いんですよ。だから、そんなみんなが力を合わせれば強いチームになれるに決まっている」

 フランスでの選手生活から、にじみ出る言葉に思わず励まされた気分になる。そしてその後、寂しそうにこうも言った。

「なんか一番大事なことを忘れてしまっている気がする……もったいないですよね」

もちろん個のアピールは大事だ。けれど“チーム”はそれだけではない。宇津木自身はデンマーク戦でも後半39分から出場している。そのわずかな時間に放った強烈なミドルシュートには想いが込められていた。

「まだ終わってないよ!」

 そんな宇津木がボランチとして率いる、サブメンバー全員で臨むポルトガルとの一戦は、個のアピールだけでなく、“チーム”として戦う姿を懸命に描こうとしている選手たちの姿があった。

 攻守すべてがバラバラになってしまったデンマーク戦が、サブメンバーをこれまでと違う意味で奮い立たせたのかもしれない。実際、これまでにも格下相手にターンオーバーを行なってきたが、会心のゲームというのはなかなか生まれていないのが現実。だからこそ、自分たちのできる、ギリギリの高い位置からプレスをかけ続け、長短のパスに一定のメリハリをつけて揺さぶる。シンプルだが効果はあった。

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