札幌・バルバ監督が語った「代表監督本命、ハリルホジッチ」 (3ページ目)

  • 木村元彦●文・写真 text & photo by Kimura Yukihiko

――ドイツ戦の前半は、明らかにアルジェリアの方が多く決定機を作っていましたね。そして、カペッロ(監督)のロシアには先制されながらも追いついた。これも痛快で、ユーゴスタイルのサッカーがイタリア(※)の堅守をこじ開けた。勝負強さも感じました。ホン・ミョンボ(監督)の韓国を破った試合については、何か印象に残っていることはないですか?
※(ファビオ・)カペッロはイタリア人。ACミラン、ASローマ、ユヴェントスなどセリエAの名門を率いた名将で、守備的な戦術に優れる

「あの内容も非常に良かった。韓国相手に試合をコントロールしていた。守備に回っても高い位置から激しいプレスをかけて、ボールを奪うことが出来ていた。4対2だったけれど、スコア以上に差が開いた試合ですね。何がすごいかと言うと、初戦のベルギーに負けた後に、この韓国戦で先発メンバーを5人入れ替えて、それが見事にはまったこと。ヴァヒドの仕事に対する考え方を私がすべて把握しているわけではないのですが、ただひとつ間違いなく言えることは、彼が監督になったら規律を守り、ハードワークができるチームを必ず作り上げるということです。そこは間違いないと思います」

――韓国戦に向けて修正したのはディフェンスではなく、アタッカーの入れ替えでした。それで、新たに先発に起用されたスルマニやジャブが爆発した。攻撃に関する重心の傾け方はやはりユーゴ系の監督だと思いますね。

「彼自身も攻撃的な選手でしたし、そういうところは少なからずあると思います」

――あなたはチーロ・ブラジェビッチが、ボスニア代表監督をしていたときにヘッドコーチとしてついていたわけですが、チーロはリアリズムをもって勝負に徹する部分があった。ハリルホジッチは両方持っている感じですね。

「W杯での戦い方を見たら、そう見えますね。相手と自分たちの力関係を分析して、それで一番いい戦い方、一番結果が出そうな戦い方というのをチョイスしている。そして重要なのは、実際にそれを選手にやらせることが出来るということ。普段からいろんな戦い方を想定してチームを鍛えていないと、これは無理です」

――彼は西ヨーロッパでプレーしながら、アフリカのチームで歴史を作った。これも重要な要素です。外国で指導する場合は、その国の風土やメンタルをリスペクトしないといけない。異文化コミュニケーションのとり方も上手いということですね。

「それは本当にそう言えると思います。選手とのコミュニケーションも上手いと聞いています。私の場合もそうですが、その国のことをより理解しなければ、外国人監督は自分の力は出せないということです」

(つづく)

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