遠藤保仁「みんなは、なんで日本代表に悲観的なの?」

  • 佐藤俊●取材・文 text by Sato Shun
  • photo by Getty Images

「UAE戦では、チャンスを決め切れなかったね。あと、ドリブルしてあっさり獲られたり、バックパスを簡単に奪われたり、ハッとするようなミスがたまにあって、それで(見ている側の香川の)印象が悪かったのかもしれない。でも、PKは運もあるし、仕方がないこと。それに、真司はオカちゃん(岡崎)と同じくらい、よく走っていたし、点にも絡んでいた。(2列目の)インサイドハーフで一緒に並んでプレイしたけど、やりづらさはなかった。まあ、真司ぐらいの選手であれば、今の自分がどういう状態なのか、よくわかっていると思う。自分の思いどおりにいかないことのほうが多くて、実際に悩んでいるかもしれないけど、オレはみんなが言うほど、悪いとは思っていなかった。真司がいたから、あれだけチャンスを作れた、というのもあるからね」

 今回のアジアカップでは、主力メンバーが4年前の大会とほとんど変わらず、新戦力の台頭もあまり見られなかった。新陳代謝の必要性がチーム内外から囁かれる中、武藤嘉紀や柴崎岳ら期待の若手が途中出場に甘んじるなど、ブラジルW杯組を越える選手が出て来ていないのだ。

「武藤にしろ、岳にしろ、いきなり『代表の中心でやりなさい』と言われても難しいって。オレだって、代表でコンスタントに試合に出るようになって、自分らしくプレイできるようになるまで、1年近くかかっているからね。だから、彼らのことも、今はそっとしておいてあげたほうがいい。野放しにして、好きなようにやらせるのがいい。そうして、彼ら自身が(代表で)何をすべきかを自覚して、それをクラブに戻って自分のモノにしていけば、自然と成長していくよ。まあ、これからも『若手を使え!』って周りは言うだろうけど、W杯予選は難しい。W杯予選は勝たなければいけないから、監督は絶対的に信頼する選手を使いたくなる。そこに(新たな選手が)入っていくのは、そう簡単なことじゃない」

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