オーストラリア人記者が見たサッカー日本代表。「緩い」 (4ページ目)

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao
  • photo by Matsuoka Kenzaburou

 決定機を逃すのはいまに始まったことではないが、期待外れもいいところで、本気度が感じられなかった。また、オーストラリアは22歳のMFマッシモ・ルオンゴや23歳のDFトレント・セインズベリーといった多くの若手がブラジルW杯以降に台頭し、ティム・ケーヒルやマーク・ブレシアーノ(いずれも35歳)らの依存度が減ったのに比べると、日本は遠藤保仁や長谷部誠、川島英嗣らをはじめW杯からほとんどメンバーが変わっていなかったのが気になった」

 皮肉にも、大会を通して好機を逃し続けた日本に対し、オーストラリアはベテランのケーヒルが通算3ゴールを挙げながらも、大会最優秀選手には2ゴール4アシストのルオンゴが輝くなど、世代交代を進めながら結果を手にしたのである。

 前出のモンテベルデ記者は「(準決勝で対戦の可能性があった)日本がUAEに敗れたことはある意味ラッキーだった」と、オーストラリアにとっては日本が対戦を前に姿を消してくれたことは少なからず助けになったとも言う。だがウィリアムス記者は、日本は「相手がどこだろうと、メンタルの改善なしにはこれ以上の進歩はないのではないか」と語る。

「オーストラリア人は、とくに物事が思い通りに進んでいないときに強いメンタルを発揮する。だが日本では、代表に限らず、たとえばJリーグでも13年の横浜、14年の浦和がそうだったように、優勝争いで大きくリードしながらプレッシャーに耐えられず終盤に失速している。日本人のメンタルは大きな期待を背負ったときこそ脆くなるように見える。難しい状況に置かれたときに自らを駆り立て、違うアプローチを模索するような心の強さがないのは、監督を代えればどうにかなる問題ではないし、日本国民全体の問題かもしれない。そういう意味で、日本がさらに進歩するには、人と違うことを恐れない本田のような心の強い選手がもっと必要になってくるのではないか」

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