不明朗な人事、商業主義...日本サッカー協会の問題点 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 長田洋平/アフロスポーツ●写真

 原専務理事は、ザッケローニの招聘に中心として関わった人物。ブラジルW杯惨敗を受け、その任命責任を問われても不思議のない立場にいた。しかし結局、処分は何も下されなかった。その口から反省、検証の弁も、多く聞かれなかった。この態度を面白く思わない人は、当然のことながら多くいた。その間隙を突くように、技術委員長から専務理事へと昇格した人事も拍車を掛けた。元選手、元監督、テレビなどに出演する評論家からの評判は、総じて悪かった。

 そして、原専務理事を快く思わない人たちがターゲットにしたのが、彼が中心となって招聘した新監督のアギーレだった。記者から繰り出される記者会見の質問を聞いていると、それは手に取るように実感できた。

 象徴的だったのは、0-4で敗れたブラジル戦(10月・シンガポール)。なぜベストメンバーで戦わなかったのか。メディアの多くはそうした立場に回り、アギーレを批判した。八百長問題が囁かれ始めたのもそのあたりから。アジアカップ優勝は、続投の絶対条件。気がつけば、世の中はそうしたムードに支配されることになった。

 アジアカップの結果はベスト8。解任記者会見は、大会終了とともに行なわれた。

 ただしアギーレがシロかクロかなどという話に関心を寄せるメディアはあまりなかった。注目はむしろ、大仁会長、原専務理事の去就に集まった。協会の密室人事、コネクション人事が、騒動の根底にあることが、ここで改めて浮き彫りになった。

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