国際性と説明責任。日本サッカー協会5つの問題点

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

緊急特集「よみがえれ! 日本サッカー」(9)
日本サッカー協会をめぐる5つの問題点(前編)

 協会の名前が、メディアを介してこれほど登場する競技も珍しい。代表チームが頻繁に活動を行なうサッカー競技の特性を表したものと言えるが、世界を眺めたとき、日本の現象は特殊な部類に入る。代表チームへの関心が、クラブサッカーへの関心を大きく上回る国。中央集権的になりがちな体質がそれを後押しする。日本サッカー協会は、サッカー界の浮沈のカギを握る存在なのだ。

 だがその姿は、とりわけ最近、頼りなく見える。アギーレ解任劇をはじめとする諸問題への対応のまずさが、随所で目にとまる。ブラジルW杯惨敗。アジアカップベスト8敗退。下降線を描く代表チーム、伸び悩む選手。現場で起きている問題も気になるが、協会にまつわる問題は、いまそれ以上に心配になる。叱咤激励せずにはいられない。問題はどこに潜んでいるのか。いくつかの視点から迫ってみたい。

記者会見に臨む原博実日本サッカー協会専務理事記者会見に臨む原博実日本サッカー協会専務理事(1)国際性の欠如

 代表監督。日本代表を中心に回る日本サッカー界にとって、それは生命線というべきものだ。日本サッカー協会に課せられた仕事の中でも、代表監督選びは最も重要な位置を占める。失敗は許されない。

 代表選手の選出は、日本国籍を持つ選手に限られるが、代表監督にその制限はない。対象者は、地球上に存在する全てのサッカー監督、指導者だ。失敗を防ぐためには、探す側の国際性、世界性が不可欠になるが、いまの日本サッカー協会が、そうした要素を満足に備えた組織かといえば、大いに怪しい。そう言わざるを得ない。

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