識者7人が警告「日本サッカー、今そこにある危機」

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緊急特集「よみがえれ! 日本サッカー」(1)
7人の識者が指摘する「日本代表の問題」

 昨年のブラジルW杯惨敗が鮮明な記憶として残る中、日本代表は新たな指揮官としてハビエル・アギーレ監督を迎えた。しかし、連覇が期待されたアジアカップで、日本はあえなく準々決勝で敗退した。

アジアカップ準々決勝でまさかの敗戦を喫した日本代表。アジアカップ準々決勝でまさかの敗戦を喫した日本代表。 Jリーグ開幕(1993年)から20年あまり、急速に進歩し続けてきた日本サッカーだが、今や完全に頭打ちの状態にあり、明らかに下降線をたどっている。結局、さまざまな問題を抱えながらも、そこから目を背(そむ)けてきたツケが、こうした危機的な状況を招いてしまったことは間違いない。

 しかし、考え方を変えれば、落ちるところまで落ちてしまった今こそ、日本代表、そして日本サッカーが抱える問題点を浮き彫りにして、徹底的に討論を重ね、検証していくことが大事なのではないだろうか。そのうえで、日本代表、さらには日本サッカー界が、再び上昇していくための方策なり、指針というものを導き出していくべきだと考える。

 そんな中で、日本サッカー協会(以下、協会)は、アギーレ監督との契約を解除した。日本代表は現在、まさにニュートラルな状態にあり、物事を整理し、立て直しを図るには絶好の機会を得たと言える。

 協会は、このチャンスを逃してはならない。

 当然、我々メディアもこれからは、日本代表、日本サッカー界の課題や不安要素をきちんとあぶり出し、緻密な検証を重ねながら、よりよい方向性を、協会に対してはもちろんのこと、世間にも訴えていかなければいけない。そして、日本代表の成長と、日本サッカー界の発展のために、真摯にサポートしていくべきだろう。

 そこで、まず7人の識者に話をうかがって、アジアカップで露呈した日本代表の問題点や、日本サッカー界が抱える不安要素などを挙げてもらった。

 その中で、アギーレジャパンの戦いぶりを前向きにとらえていた解説者の望月重良氏の見解を先に紹介しよう。同氏は、アジアカップにおける日本代表には特筆すべき問題はなかった、と言う。

望月重良氏(SC相模原代表/元名古屋グランパスなど)
「賛否あると思いますが、アギーレ監督からは強い"リーダーシップ"が感じられ、彼は自分のサッカー哲学というものもしっかりと持っていた。そして、どんな選手にも気を使うことなく、自らのスタイルに選手たちを落とし込んでいた。選手頼みにならないやり方には、とても好感が持てた。このまま行けばすごくいい方向に進んでいくのではないか、という期待があった。

 確かに決定力という面で問題はあったかもしれないけど、そこはもう少しチーム作りが進んでいけば、解決できる部分。それよりも、アジアカップにおける試合内容は決して悪くなかった。前回優勝したときと比べても、内容は明らかによかった。そこを評価すべき。チームとしてのコンセプトがあって、どの試合でもイニシアチブは日本が握っていた。結果だけが悪い方向にいってしまったが、日本はいい戦いをしていたし、特に大きな問題は見られなかったと思う」

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