収穫なき敗退劇。このままではUAEに実力で抜かれる

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 松岡健三郎●写真 photo by Matsuoka Kenzaburou

 だが、その本田も現在28歳。次回2018年W杯では32歳になる。「本番」では、現代表選手全員、確実に3.5歳、年齢を重ねている。今回のアジアカップは、そうした将来を見据えながら臨むべき大会だったのだ。

 UAEには若手選手がゴロゴロいた。日本がUAEのようなメンバー構成で臨んでいたなら、準々決勝止まりという結果も薬になろうが、お馴染みのベテラン中心のメンバーで敗退すると、そうはいかない。

 だが、優勝したところで大した意味はない。副産物として得られるコンフェデ杯の出場権にも、絶対的な価値はない。なぜアギーレは、遠藤、長谷部誠、今野らを代表に呼び戻したのだろうか。遠藤、長谷部は、格の違いを見せつけたわけでは全くない。早く代わりを探さないと大変なことになると思わせる、ギリギリのプレイだった。

 2018年W杯のためにいまするべきことは、彼らに頼ることではない。アギーレの選択は、完全なる失敗に終わった。発掘とテストを怠り、勝ちに行ったにもかかわらず、あえなくベスト8で散った。コンフェデ杯出場を逃した。収穫のない敗退劇。今回のアジアカップを一言で総括すればそうなる。

 もちろん、これはアギーレ1人の問題ではない。むしろ、協会技術委員会の責任の方が重いと言いたくなる。アギーレを招いた理由は何だったのか。彼のスタイルに共感したからではなかったのか。その方法論に4年後を託したのではなかったのか。それを全力で後押しするのが、協会としての使命ではないのか。4年契約の半年目に行なわれたアジアカップに、何を期待したのか。従来と代わらぬメンバーで臨むことを、なぜ承知したのか。

 この半年間、僕には無駄な時間を費やした様にしか見えない。もっと前向きに、失敗を恐れず、結果至上主義に染まるメディアを敵に回してでも、あるべき理想像を追求すべきだったのだ。

 それもできず、結果も出せなかった。これぞ最悪のシナリオ。チャンネルは即、切り替えるべきだ。このままでは近い将来、UAEに実力で抜かれる。2018年は、2014年よりもっと酷いことになる。2022年はさらに酷いことになる。これまでの気持ちで代表チームと向き合っていると、暗黒時代に突入する。僕はいま、明日の日本が心配でならないのだ。

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