収穫なき敗退劇。このままではUAEに実力で抜かれる

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 松岡健三郎●写真 photo by Matsuoka Kenzaburou

 攻める日本。引いて守るUAE。UAEが先制点を挙げた前半7分以降、ピッチにはそうした一方的な図が鮮明に描かれた。

 ボール支配率68.1%対31.9%、シュート数35対3という数字が示すように、残りの113分間、日本は常に試合を押していた。1-1、PK戦負けは、日本にとってアンラッキー、辛い結果だったように見えるが、UAEが早い時間に先制点を奪っていなかったら、試合展開は違った形になっていたと思う。

 逆に日本が、早々に先制していたら、UAEはもっと攻めてきたと思う。それが十分可能な、いつになく高いポテンシャルを持った好チームだった。引いて守るUAEと、積極果敢に前に出てくるUAEと。日本にとって嫌だったのは後者だ。引いて守るUAEは、戦いやすい相手に成り下がっていた。

出場途中で同点ゴールを決めた柴崎岳(左)と本田圭佑出場途中で同点ゴールを決めた柴崎岳(左)と本田圭佑 早々に先制したUAEは、色気がでてしまった。勝利が早い段階で目の前にちらつき、呪縛に取り憑かれることになった。本来のサッカーではなく、勝利を求めようとした。その結果、かつての中東っぽさを全面に出す古いサッカーに陥ることになった。

 日本を苦しめるためには、正攻法で戦った方が得策。このまま最後まで守り抜けるのか、疑問に感じた。日本に逆転負けを喫したら、悔いは残るだろうなと、余計なお世話まで焼きたくなったほどだ。

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