「中盤」香川真司がアジアカップでつかみたいもの (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

 だが現在、香川は日本代表でも復帰したドルトムントでも、どちらかといえば中盤的な役割を担っている。それは本人や周囲が望むものではないのだが、原因は香川自身がシュートを打たず、ゴール前で迫力を欠くプレイを繰り返していることにもある。以前の間合いで相手ディフェンダーを抜けず、トラップは流れ、そしてセイフティなパスを選択する。ドルトムントで4-2-3-1の2列目中央でプレイする香川を見れば、「それなら中盤で」と思われても仕方がない。

 香川はそれなりに器用に中盤をこなすことができる。特に代表においては、長谷部誠や遠藤といったボランチのスペシャリストと組むのだから、守備面でも助け合うことができるのだ。

 だが、イラク戦後、「中盤として悪くないプレイも見せたのでは?」と尋ねられた香川は、簡単に肯定することはなかった。

「これだけスペースがあればチャンスに絡めるのは当然です。あとはやはり最後に決めきるかどうかがとても大きな問題だと思うので、そこで決めきれる選手にならないと。自分も成長していかなきゃいけないですし、結果を残さないと上に上がっていけないと思っているので、そこは強くこだわっていきたいですし、結果を残さないと意味がないと思っています」

 イラク戦では、中盤としての働きをこなしながらも、ゴールへの意欲を垣間見せた。立ちあがり、本田とのコンビネーションでチャンスを作ったシーンや、本田のPKでの得点につながった乾貴士から横パスを受けたシーンなど、決定機にも絡んだ。これまでに比べると惜しいチャンスに絡み、あと一歩のところまで来ている印象も受ける。

「(調子が)上がっている感じはします。ただ、もっと詰めて見たら直さなきゃいけない課題だったり、最後の詰めの甘さというのは感じているから、そこは強く自分自身でやるしかない。(毎試合)本当に集中してできているので、次の試合に向けてもう一回集中して、切り替えたいと思います」

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