鈴木大輔が回顧。「今年一番悔しかったブラジル戦」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images Sports

<それが2試合で3枚のイエローって、ありえないっしょ>

 鈴木は自分を責めた。

「もしかすると、代表から戻ってのJリーグの試合で気負ったところがあったのかもしれません」

 彼はコップの水を飲み干し、店員にお変わりを頼んだ。

 10月、彼はアギーレの率いる日本代表に緊急招集された。招集されていた選手のケガによる"補欠"だったわけだが、本人にそんな経緯は一切関係なかった。

「選ばれた限りは、出るための準備をし、出られなくてもやり続けるだけ」と腹を決めていた。10日のジャマイカ戦は出場機会がなかったが、シンガポールに遠征した14日のブラジル戦は、アディショナルタイムを含めてわずか9分間だったものの、貴重な出場機会を得ている。

「自分としては、ブラジル戦が今年一番に悔しい経験でしたね」

 彼は苦いものを飲み込むように振り返っている。

「試合に出してもらう以上は、"できるだけのことはしよう"と思い、それはできた気がするんです。でも、あの時間なんで、ブラジルも"もういいっしょ"という感じで流していた気がするし、どこまでアピールになったのか......そこは疑問ですね。選ばれた以上、自分は頭から試合に出るために練習から最大限にアピールしていたつもりですが、力が足りなかったんだと思いますよ」

 軽く眉を動かした。


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