2014.11.28

遠藤保仁の起用法でアギーレジャパンの未来がわかる

  • スポルティーバ●構成 text by Sportiva
  • photo by Masuda Yuichi

杉山 僕も、アジアカップで優勝して、W杯前年のコンフェデレーションズカップ(以下、コンフェデ)の出場権を得ることについては、昔ほど重要だと思っていない。むしろその期間は、コンフェデに出ていない強豪チームと、できればアウェーで親善試合をやったほうがいいと思っている。結構、いいチームが残っているから、コーディネート次第ではかなりいい強化になると思う。そういう意味でも、アジアカップには新しいメンバーで戦って、地力強化を図るとか、経験を積むとか、そういったスタンスで臨んで、できるだけ多くの試合をこなせればいいんじゃないかと思っていた。準々決勝で十分だけど、準決勝まで進めたら、申し分ないよね。それが結局、11月のメンバーでアジアカップに挑むとなれば、決して先を見据えているわけではないから、誰もが結果を求めるようになる。アギーレジャパンにとっては、もう「絶対に負けられない大会」になってしまう。それって、かなりやばいと思うよ。万が一、準々決勝あたりで負けたら、目も当てられないことになる。コンフェデの出場権を得られなければ、何にも収穫がないってことになるから、アギーレ監督も、協会も、相当バッシングを受けるんじゃないかな。アギーレ監督は、立場的にもかなり危うくなっちゃうよね。

――実際、アジアカップは”ブラジルW杯組”中心のメンバーで臨むんでしょうか。

浅田 そうでしょ。だって、ホンジュラス戦が終わったあと、アギーレ監督は自身が考えうる「ベストの11人でオーストラリア戦に臨む」って言って、それが、あの(ブラジルW杯組中心の)メンバーだったわけだから。当然、アジアカップにはベストメンバーを連れていくだろうから、少なくともスタメンのベースになるのは、11月の2試合で起用した選手たちでしょ。もちろん、代表23名の顔ぶれは、11月のメンバーから多少は入れ替えがあるだろうけど。

杉山 しかもあのとき、なぜかアギーレ監督も急に「勝ちにいく」なんて言い出した。アジアカップでも、結果を出すつもりでいるんじゃないの。

――そうすると、アジアカップで結果が出なければ、アギーレ監督は解任、ということになりますか。

浅田 いやいや、その判断は難しいよ。結果が出なかった場合、すべてアギーレ監督の責任なのか、という話にもなってくるから。

中山 僕は、(アギーレ監督の解任は)アジアカップの結果だけで判断しないほうがいいと思っています。システムを4-3-3でやるのか、4-2-3-1でやるのか、誰をどこでどう使うのか、という采配を見て、判断したいですね。

杉山 それは、一理ある。

中山 例えば、僕が注目したいのは、MF遠藤保仁(ガンバ大阪)という駒の扱い。11月の2戦で遠藤は、4-3-3の中盤の2列目に、香川真司(ドルトムント/ドイツ)と並んで使われました。しかしオーストラリア戦の前半は、展開が悪かった。それでアギーレ監督は、前半途中からシステムを4-2-3-1に変えて、遠藤を2ボランチの一角に下げた。つまり、守備力に欠ける遠藤と香川を2列目の中盤で併用した場合、オーストラリアくらいのレベルが相手になると通用しないことがわかった。そのうえで、後半開始から、守備力の高い今野泰幸(ガンバ大阪)を遠藤に代えて投入した。この2段階の変更は、アギーレ監督が明らかに守備の改善を行なったわけです。それが最善と判断したことになります。にもかかわらず、アジアカップでも4-3-3のシステムで、しかも香川とセットで遠藤を中盤の2列目にスタメン起用してきたら、アギーレ監督はあまり自分の考えを貫くタイプじゃないんだなってことがわかる。この人は、考えがブレまくる人なんだな、と。そうしたら、マイナス評価になりますよね。要は、優勝とか、グループリーグ敗退とか、結果とは関係ないところで、監督の力量が見極められる要素が十分にあると思うんです。それによって、まだチーム力を伸ばせる監督なのか、それとも4年間指揮を執っていたらチームを停滞させてしまうのか、確認したい。アジアカップは公式戦だし、そういう”監督力”というものが初めて見えてくる大会なのではないでしょうか。