アギーレジャパンの緊急課題は「本田ジャパン」からの脱却

  • スポルティーバ●構成 text by Sportiva
  • photo by Masuda Yuichi

――サッカーの方向性やスタイルはまだ見えなくても、アギーレ監督が志向するサッカーのベースには、4-3-3というシステムがあるように感じました。日本代表がそのシステムで戦っていくことについては、どう思われますか。

中山 4-3-3と言っても、いろいろな形があるので一概には言えないんですけど、今のスタイル、要するに中盤の底に位置する選手が上下しながら全体のバランスをとるという形の場合、その前の、2列目の両サイドはかなり重要なポジションになる。求められる仕事が多く、前線にも顔を出して、ボールも奪えなければいけない。運動量が豊富で、オールラウンダーでなければいけない。理想的な選手像を挙げれば、イングランド代表のジェラード(リバプール)や、ランパード(マンチェスター・シティ)ということになるんだけど、これまでそのポジションで起用された選手は、そういうタイプではない。日本全体を見渡しても、適役と言える選手は見当たらない。そういう意味では、4-3-3でいくのは厳しいんじゃないかな、と思いますけど......。アギーレ監督は「4-3-3をベースにして、状況によっては4-4-2、4-2-3-1を併用していく」と言っていますから、最終的にはどのシステムをベースにするのか、今後を見てみたいですね。

浅田 U-21代表の選手に話を聞いても、「4-2-3-1のほうがやりやすい」って言うんだよね。周囲の選手との距離間を含めて、全体のバランスをとりやすいって。察するに、日本の選手はみんな、2ボランチに慣れているというか、中盤の底に"ふたりいる"ことで、安心感を持っている。そこがひとりだと「怖い」みたいな。そう感じてしまうのは、日本ではどうも、中盤の底がひとりだけだと、その両脇のスペースを相手に使われる、という認識が強いから。それで、中盤の底を1枚にしてやることに抵抗感を感じている選手が多いような気がする。だからといって、それで4-3-3をやらない、というのはどうかと思う。どんなシステムだって、きっちりスペースが埋まるものではないからね。中盤の底が1枚であれば、そこには別のメリットがあるわけでしょ。そこを、もっと考えるべきなんじゃないかな。

杉山 そうだね。まずはこの世の中に、なぜ4-3-3が存在するのかってことを考えないといけない。そこには、必ず利点があるわけなんだから。要は、浅田くんが言うように、日本の選手はまだ4-3-3に慣れていないだけ。他のサッカー関係者やメディアも含めてね。だから今は、「4-2-3-1にすべき」という意見が多数派になっている。でも、個人的には4-3-3をやっていけばいいと思っている。だいたい、かつて3-4-1-2が日本でメインだった時代に、僕が4-2-3-1の採用を提唱したら、「そんなの日本では絶対に流行らない」っていう人がたくさんいた。それが今では、4-2-3-1が日本では当たり前になった。そのことを思えば、そのうち4-3-3が日本サッカーの主流になっても不思議ではないよ。

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