2014.11.26

迷走を始めたアギーレジャパン、最大の責任者は誰か

  • スポルティーバ●構成 text by Sportiva
  • photo by Masuda Yuichi

浅田 仮に「常に結果が大事だ」と考えているマスコミの人がいるのであれば、アギーレ監督が「6試合をテストで使う」と言ったときに、「それはおかしい」と言えばいいんだよね。そういう指摘をしないで、批判するのはどうかと思う。

杉山 代表OBの解説者の人たちも「代表は育成の場ではありませんから」と、テレビでコメントしたりするでしょ。あれも、問題だよね。確かに昔の代表はそうだったかもしれないけど、今は違うでしょってこと。先を見据えて、W杯で結果を出すために、強化していかなければならないんだから。目の前の勝利にこだわっているだけでは、チームは成長しない。だいたい岡田ジャパンからザックジャパンまで、遠藤保仁(ガンバ大阪)と長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)をずっと2ボランチで起用して、その間、誰も育ってこなかった。それは、目先の勝利を求めて、選手を試さなかったからでしょ。やっぱり、意図的に新しい選手を起用していかないと、選手もチームも進歩していかない。ブラジルW杯は、それで失敗した。そういう過去があるのに、また遠藤と長谷部に頼ろうとしている。「今回も、ですか?」という感じで、呆れちゃうよね。

中山 ホンジュラス戦が終わったあと、失望したことがあるんですよ。それは、6-0と大勝して、周囲の評価が一変したこと。それまでのアギーレ監督に対して批判的だったマスコミも称賛するようになって、協会もそれに流されてしまった。でもあのとき、それまでの4試合とはまったく違うメンバーだった。アギーレ監督が前日練習しか参加していない中で、戦術が浸透するはずもない。つまり、あの試合のサッカーは、選手のアドリブによるところがほとんど、と見るのが妥当。アギーレ監督のサッカーとか、手腕とかを、どうのこうのと語れるような試合ではなかったわけですよ。それなのにマスコミは、強引に勝利と結びつけて、「アギーレジャパンが進化した」とか「攻撃がよくなった」とか言って騒いでいる。それって、その試合の意味というか、何を評価すべきか、ということが見えていない証拠でしょ。結局、この国は何も変わっていなくて、本当の意味でW杯の反省をしていない。目先の勝利だけにとらわれて、また同じ過ちを繰り返そうとしている。それと、いまだにマスコミが親善試合と公式戦との評価の住み分けができない。そういう日本サッカー界の環境に、ザッケローニ監督もそうだったと思うけど、きっとアギーレ監督もカルチャーショックを受けているんじゃないでしょうか。「この国では、親善試合と公式戦も一緒の認識なんだ」って。

杉山 日本の感覚は、やっぱり世界の常識からかけ離れている。ザッケローニ監督のときも、就任2戦目の韓国戦(0-0)を終えたあと、会見で監督が「アジアカップではベスト4を目指す」と言ったら、ある記者が「それでいいんですか?」って、当時強化委員長の原博実さん(現専務理事)に質問したわけ。さっきも言ったけど、ベスト4から先は紙一重なんだから、ザッケローニ監督の感覚は普通なの。それを「優勝がマスト」なんていうのは、無知の人の発想。謙虚さもない。とどのつまり、問題はマスコミにあるんだよ。大手メディアはもう仕方がないとしても、最近はサッカーメディアも「勝利至上主義」に流されている。それが、最大の問題だと思うよ。

(つづく)

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