ホンジュラス戦大勝にも疑問符。アギーレ色はまだ半分 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 ザックジャパンを想起させる布陣で始まったが、最後はアギーレのオリジナリティがピッチにしっかり反映されていた。借り物色はすっかり薄れていた。

 サッカーそのものは、全体を通してみれば半々。ザック色半分、アギーレ色半分だった。

 アギーレ色が反映されていたのは、相手ボール時の対応だ。それがルーズだったザックジャパンとは、明らかにボールの奪い方が違っていた。選手は相手ボールをよく追いかけた。

「まず守りから」とは、アギーレが就任記者会見で述べた台詞(せりふ)だが、大量リードを奪いながら、この試合が最後までダレなかった理由は「まずボールを奪う」という姿勢が貫かれたことにある。チャンスのほとんどは、相手のミス絡み。よいタイミング、よい場所でボールを奪い、それが攻撃の基点に直結していた。

 ボールを繋ぎまくり、奇麗に崩したというより、奪った勢いを活かし、一気呵成に攻め立てたという感じだ。サッカーそのものは決して美しくなかった。

 一方、ザックジャパンと似ていたところは、遅攻になった時の攻撃のルートだ。真ん中に偏りがちになるその展開に問題があった。幅を広く保たずに真ん中ばかりを行く。そこで難易度の高いパス、言い換えれば、生産性の低いパス交換を行なえば、奪われる確率は高くなる。ブラジルW杯コロンビア戦を彷彿とさせるようなシーンが何度となく目に付いたのだ。ホンジュラスにもう少しボールを奪う技術があれば、カウンターに鋭さがあれば、失点を喰っていたに違いない。

 6−0。これでアギーレジャパンの通算成績は2勝2敗1分のタイになったわけだが、この事実からも、代表チームに通算成績という物差しを当てることが、どれほど無意味なことかが分かると思う。

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