「アギーレ批判」に見る、日本サッカー界の未成熟 (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

 ただし、協会内、あるいはその周辺には、専務理事(協会の実質ナンバー2)にまで上り詰めた原氏の存在を疎(うと)ましく思っている人が多いと聞く。おまけに、原氏はザッケローニ監督の招聘にも中心となって動いた人物だ。W杯惨敗を受けて、任命責任が問われていたが、技術委員長から専務理事に昇格した。スネに傷を持つ身でありながら、協会の重職に就いた。居心地は決してよくないはずで、前に出て行きにくい立場に置かれているように見える。

 アジアカップでアギーレ監督が結果を残せなければ、原専務理事の立場は一層危うくなることが予想される。そうなったとき、アギーレ監督を守ることができるのだろうか。

 2018年W杯から逆算すれば、アジアカップはベスト4に進出できれば十分だと、僕は考えている。しかし世間は、それとはまったく異なる方向に流れていきそうな気がする。

 そのときのアギーレ監督の立場も心配されるが、それよりも不安なのは、日本代表そのもの。代表を取り巻く現状を見る限り、アジアカップの結果次第では、日本サッカーは再び“負のスパイラル”に陥ってしまうのではないだろうか。僕には、そう見えてしまう。

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