【なでしこ】カナダに連勝。2015年W杯につながる「有終の美」 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 そして、指揮官に「アピールはナンバーワン」と言わしめたのが、33分に先制点を挙げた永里だ。コーナーキックのこぼれ球を落ち着いてダイレクトボレーで決めた。

「海外でやってて、周りでああいうプレイが多いからイメージはあった。打った瞬間は願いましたけど、『入れ~!』って(笑)」(永里)

 ボールはバーを叩きながらもゴールネットを揺らした。もともと技術は高く、ターンから反転してのシュートは永里独特のリズムがあり、いつ開花してもおかしくない逸材だった。さらなる成長を求めて姉・大儀見優季が当時所属していたドイツのポツダムに移籍したのが2013年1月。最初のシーズンは思うようなプレイができなかったが、大儀見がチェルシーに移籍後は、自身を見つめ直しながら奮闘。ひとつひとつ経験を積み重ねてきた結果、今シーズンは3トップの一角を担っている。そしてなでしこジャパンで出場の機会を得た。

「このチャンスはつかまないといけないと思っていた」と自分にプレッシャーをかけながら臨んだ試合で代表初ゴール。永里はベンチ前で待つ姉のもとへ全力で走った。「彼女のこの試合にかける想いも知っていたし、うれしかった」とは妹をしっかりと抱きとめた大儀見。それを見守るチームメイトたちも笑顔。みんなが待ち望んでいたゴールだった。

 後半に入ると、終了間際に右足を痛めた菅澤優衣香(ジェフ市原)と岩渕に代わって、大儀見、大野忍(アーセナル/イングランド)が投入された。追加点が欲しい日本だったが、12分、ゴール前の猛攻にたまらずオウンゴールを許し、カナダに同点にされる。ここから一進一退の展開となる。

 残り20分となったところで髙瀬愛実(INAC)に代えて宮間あや(湯郷ベル)を入れた佐々木監督。アジアカップで見せた4-2-3-1の攻撃的布陣で勝負に出た。

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