2連覇まであと1勝。復活したなでしこの得点源 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text &photo by Hayakusa Noriko

 3得点はすべてセットプレイからだった。"本来のなでしこジャパン"の十八番ともいえるセットプレイ。このチーム発足当初の3週間前にはなかなか息が合わなかった若手とのセットプレイが形になった。足元、空中戦、ショートコーナー......。工夫をこらしたセットプレイはこのチームでも最も信頼できる得点源だ。逆に言えばセットプレイ以外では、まだ"崩し"の精度が欠けてると言える。

 気になったのは、切り込み隊長である川澄奈穂美(INAC神戸)を生かしきれなかったことだ。サイドに開く川澄に最終ラインからボールがつくことはほとんどなかった。真ん中では増矢理花(INAC神戸)がDF陣に囲まれる状態が続く中、左サイドでは有吉のビルドアップなどで動きがあったものの、川澄への配給は滞っていた。得点力があり、味方を使うこともでき、バイタルエリアで余裕をもってプレイできる川澄を生かさないのはもったいない。

「だからこそ、多少無理な状況でもボールを(川澄に)出した」と宮間。

 前半40分には宮間から渡ったボールを川澄がドリブルで持ち込み、相手の股を抜き中へ折り返す。増矢が合わせたが、GKがセーブ。崩しのタイミングは完璧だった。こうしたテンポのプレイは何度でもトライしてほしい。

 守備においては攻守切り替え時の面で課題が残った。特に後半24分、パスミスからボールを奪われ、食らったショートカウンター。グエン・チ・ミュオンが中央からすぐさま右サイドへ展開すると、そこから一気にシュートまで持っていかれた。有吉が最後までついて、事なきを得たが、この手のカウンターに日本はめっぽう弱い。相手が決勝で戦う北朝鮮であれば、切り替えしからゴール前までのスピードは、これまで戦ってきた相手とはケタ違いだ。失点は免れない場面になる。

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