リオ五輪、ロシアW杯につなげたい手倉森ジャパンの攻撃スタイル (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Getty Images

 ところが、このチームは横パスをつなぎながらも、テンポよく縦パスを打ち込むことができる。

 手倉森監督がこの試合のポイントに挙げたのも、「矢島の(相手選手の)間に入れるパスから生まれたコンビネーションのゴール」という2点目。MF矢島慎也の縦パスをFW鈴木武蔵がスルーして、背後に走りこんだMF中島翔哉が決めるという狙い通りの追加点に、指揮官も笑顔を見せた。相手の守備ブロックの外でダラダラとパスをつなぎ続けることがないのは、このチームの持ち味だ。

 しかし、その一方で気になるのは、攻撃が中央に偏り過ぎる点である。

 フィールドプレイヤー10人のうち、8人までがペナルティエリアの幅の内側でプレイする時間がほとんどで、サイドに開いているのは両サイドバックだけ。結果的に細かいパスワークで中央突破を図ることが多くなる。
 
 幸いにしてネパールとはかなり力の差があったため、大きな問題とはならなかった。だが、日本の攻撃が中央に偏れば相手は守りやすくなり、同時にカウンターにもつなげやすくなる。相手が強くなっても同じようなコンビネーションが使えるかというと、不安が残る。

 実際、4点目を奪って以降の20分ほどは、強引に中央から入っていく攻撃を繰り返しては簡単にボールを失った。次々に中央から打ち込まれる縦パスが、むしろ単調な攻撃を生む結果になった。

 今大会のグループリーグ3試合で、日本は3-4-3、4-3-3、4-2-3-1と、毎試合スタートのフォーメーションを変えているが、いずれの場合でも攻撃が中央に偏る傾向に変わりはない。どれも本来はピッチを横に広く使えるフォーメーションのはずなのだが、その特性を生かし切れていない印象を受ける。

 この先、決勝トーナメントに勝ち上がって相手が強くなればなるほど、ゴールを奪うのが難しくなるばかりか、この悪癖を突かれてカウンターを受けるリスクが高まる危険性もある。ネパール戦で貴重な追加点を決めた中島が語る。

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