【なでしこ】アジア大会2連覇に向けて、厳しい幕開け。 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 それでも前半はまだバイタルエリアにスペースがあった。後半に入ると中国は守ってショートカウンターの一辺倒。日本はますますスペースの少ないゴール前をこじ開けなくてはならなくなった。膠着状態が続く中、残り20分を切って、佐々木則夫監督はFW菅澤優衣香(ジェフ)、FW吉良知夏(浦和レッズ)を、ロスタイムにはMF木龍七瀬(日テレ・ベレーザ)を送り出すも、最後までゴールを割ることができずにタイムアップ。スコアレスドローでアジア大会をスタートさせることになった。

 まず踏まえておかなければならないのは、これまで誰もがイメージしてきた"なでしこジャパンの物差し"は使えないということ。このチームは生まれてまだ1週間のチーム。互いを知るには時間が足りていないことは簡単に見て取れる。「今のみんなでどんなサッカーをするかが大事」とは宮間だが、残念ながらそのサッカーを初戦では感じ取ることができなかった。

 DF臼井理恵(浦和レッズ)がボールを奪った際に「慌てない、慌てない!」と宮間が落ち着かせる場面があった。限られたエリアで相手のプレスが速い中、判断を急ぐあまり全体的にパスミスも多く、そこからピンチを招くこともしばしば。フィニッシュに直結するフィード、クロスの精度もまだまだ改善しなければならない。「ミドル、ロングシュートも練習していたが、手間をかけ過ぎた」と指揮官も振り返るように、手数をかけることでリズム・スピードの緩急の効果が薄れた感もある。

 前線でボールを待つ髙瀬も「これをやるぞ!っていうのではなく、ここでパスを出してもいいかな、ダメかなって迷いながらやってる」と感じていた。前半から増矢を生かそうとする動きを見せていた髙瀬。その動きはいくつかの増矢のドリブル突破につながったが、その増矢が瞬時に囲まれてしまうことも多かった。問題はトップにボールが入るタイミングだ。時折、宮間がDFの裏を狙うタテパスを送ったが、ハメることはできなかった。

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