アギーレジャパン、4年後に生き残る選手は誰か (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama shigeki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 その中間に位置する選手も忘れてはならない。細貝萌、田中順也、扇原貴宏、水本裕貴らがそれに属する選手になるが、彼らの中で最も出場時間が長かったのが細貝だ。評価の高さを反映したものと言っていい。「守備の人」として通っていたその細貝を、アギーレは守備的MFではなく、Vの字を描く中盤の高い位置で使った。高い位置から守備をするアギーレの趣向を反映したものと言える。

 マイボール時に貢献する機会は確かに少なく、物足りないように見えたが、相手ボール時には、よくボールに食らいついていた。従来の価値観とは逆のプレイをしたわけだが、「サッカーは守りながらでも攻撃できる」という価値観に基づけば、見た目より評価は高いモノになる。

 逆に、マイボール時に力を発揮するタイプの柴崎は、確かなボール操作を披露する一方で、軽率に見えるミス、悪い奪われ方をしたことも事実。これをなくさないと、スタメンは難しい。とはいえ、自ら決めた2点目の得点シーンでは、中盤から50m以上、ゴール前まで全力でダッシュしている。シュートポイントに積極果敢に飛び込んでいった。遠藤保仁にはない魅力を見せた。監督が代わった効果を見た気がした。

 武藤は右も左も真ん中もできるところが強み。左に回れば、左利きのようなボールの持ち方ができる。自らがマークした先制点のシーンでは、まるで左利きであるかのようなドリブルと、コース取りをしている。右利きが「きつい」香川との違いと言っていいだろう。

 香川には左サイドを任されても、真ん中に入り込む癖があった。その結果、中盤のエリアは狭くなりパスの難易度は上昇。ザックジャパンはパスを悪い位置で、奪われやすいサッカーをしていた。ブラジルW杯では右の岡崎慎司も、真ん中に入り込むことが多かったため、その傾向にいっそう拍車がかかっていた。大きな敗因の一つと言えたが、アギーレのサッカーはこれとは一線を画している。3FWの両サイドは、かなり外に張っている。すなわち、その両サイドにボールが収まれば、中盤のエリアは広く保たれることになる。

 キープ力の高い本田圭佑を右のサイドで起用する理由も、そこにあるはずだ。

 広く保っておいて真ん中を突く。アギーレが、もともとこうしたサッカーをする監督であることは、その過去を知れば明白だ。

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