ブラジルW杯惨敗の引き金になった「本田の言葉」 (4ページ目)

  • photo by JMPA,Kishimoto Tsutomu

杉山 何言ってるの?って感じだよね。もちろんその可能性はゼロではないけどさ、自分たちの実力を正しく見極めて、もっと謙虚にならないと。常にチャレンジャーとして、目先のボールも一生懸命追わないとダメでしょ。メディアもそう。夢や希望ばかりじゃなくて、現実を伝えていかないと。

中山 ただね、これからまたアジアでの戦いとか、親善試合だけになっちゃうと、その結果に左右されて、みんなが勘違いしてしまう。高いレベルの経験を積めば、いかに自分たちが弱いかわかるんですけどね......。

杉山 だから、親善試合では全部負けるくらいの対戦相手を設定しなきゃダメだって。そこで、危機感が出るんだから。それでもし、中途半端なメンバーで来る国があったら、日本も若手を出せばいい。いくら世界的な強豪国が相手でも、2軍のようなメンバーが相手だったら、何の判断基準にもならないからね。そこに勝って、ますますメディアやファンが勘違いしても困るし。

――そう考えると、日本のサッカーがこれから強くなっていくためには、見る側、伝える側のレベルも上げていかないといけないですね。

杉山 レベルっていうより、もっとサッカーそのものをちゃんと見ようよ、ってこと。

中山 サッカーだけの話ではないけど、日本のテレビは、視聴率をどうしても取りたいっていうのがあるし、あるいは付き合いといったものがあってなのか、タレントをたくさん起用して、お祭りのように競技を伝えている。そうすると、W杯くらいでしかサッカーを見ない一般の人たちは、どんどんそれに慣らされていくから、サッカーそのものを見る目は育たないですよね。

杉山 歴史が浅いのもあるけど、サッカーの魅力を軽んじている。サッカーって、普通に見ていれば、面白いスポーツなんだから。タレントを使うような小細工をしなくたって十分、楽しめる。まあ、中には、はずれの試合もあったりするんだけどね(笑)。

中山 ずっとサッカーを見ているファンは、たぶん今のテレビで映されているものとかに嫌悪感を覚えているはずなんだけど、それって全体で言えば、10分の1にも満たない数なんでしょうね。だから、そういう見る側、伝える側の文化を変えるのは、本当に難しいと思う。

杉山 確かに、簡単には変わらないよ。だけど、他のスポーツと比べたら、一番変えられる可能性があるのはサッカーだと思う。

中山 他のスポーツに比べて、風通しはいいですからね。

浅田 大手メディアだけじゃなくて、僕らも含めて、多くのフリーランスの人間が取材現場に入っていけるっていう時点で、サッカーは他のスポーツとは随分と違う。

杉山 だから、スポーツを見る文化、伝える文化を変えられるとしたら、サッカーしかない。突破口のカギは、サッカーが握っているんだよ。

■サッカー代表記事一覧>>

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る