初招集も大いにあり。「アギーレ好み」のJリーガーは? (2ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi photo by AFLO

 アギーレはスペインのクラブを率いた時代、特にアトレティコ・マドリードを除くオサスナ、サラゴサ、エスパニョールの監督を務めたときは、限られた予算と選手の中で格上クラブと戦うためのチーム作りを強いられた。堅守速攻は、その当時アギーレが監督として生き抜くための術(すべ)となったわけだ。その一方で、メキシコ代表チームを率いたときは、予選で勝ち抜くためのチームと、本大会を戦うチームは多少変化している。本番では、試合ごとにシステムを使い分け、選手のポジションを変えるなどして、引き出しの多さや柔軟性という部分も見せている。

 たとえば、2010年のW杯南アフリカ大会では、予選は主に4-4-2で戦いながら、本番では4-3-3を使いつつ、3-4-3(フランス戦)、そして4-2-3-1(アルゼンチン戦)と、対戦相手によって戦い方を変えている。よって、選手にはユーティリティ性という部分を求められることが十分に予想される。

 ただし、過去のチーム作りから判断すれば、基本的にアギーレは実戦的な選手を好んで使う傾向が強い。これは、クラブチームでも、代表チームでも共通している。

 ここで言う「実戦的」というのは、試合の中でより効果を発揮する選手のこと。もっと分かりやすく言えば、国際試合でも通用する戦闘能力の高い選手ということになる。いくらテクニック、スピード、高さなど際立つ武器があっても、プレイが軽く、球際で弱く、1対1の場面で簡単に負けてしまうような選手だと、試合の中では埋もれるからだ。

 そういう視点でJリーグを見てみると、ザッケローニ時代に招集されていない「原石」がいくつか浮かんでくる。

 まず、GKに関しては、国際経験が豊富な川島永嗣(スタンダール・リエージュ)が最有力となりそうだが、将来性を考えると、浦和レッズの西川周作が次なる正GKとなる可能性は高い。判断能力、俊敏性、足もとの技術、プレイエリアの広さ、修正能力など、これから経験を積めばまだまだ伸びるはず。幸いレッズは首位争いを繰り広げているため、アギーレの視察する回数が多くなることは確実。ハイパフォーマンスを継続していけば、来年1月のアジアカップを任される可能性も十分にある。

 DFでは、鹿島アントラーズの昌子源(しょうじ・げん)。昨季終盤から頭角を現し、今季は鹿島の主力となった182センチのセンターバックだ。まだ21歳ながら、スピード、パワーはリーグトップレベルで、現在も急激に成長中。鹿島は伝統的に強いCBを育ててきただけに、秋田豊、岩政大樹(ともに元日本代表)の系譜を継ぐ大型CBとなる可能性を秘めている。まさにアギーレ好みの実戦的なタイプである。

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