日本代表は新監督を決める前にやることがある

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 ザッケローニは、その一方で、W杯の各試合で終盤になると放り込み作戦を展開した。アジアカップ準決勝の対韓国戦では、延長に入り1点リードすると5バック態勢で臨み、逃げ切りを図った。結果は失敗。だが、PK戦を制したため、その失態は追求を免れた。

 攻撃的サッカー、パスサッカーというならば、こうした采配こそ、問題にされるべきである。攻撃的か守備的サッカーか。パスサッカーか否か。方向性を変な二者択一論に持ち込み、方向性に間違っていなかったというのは、ザッケローニ采配の問題点を反映したものではない。

 攻撃的サッカー、パスサッカーを本当に追求できなかったところに、彼の問題がある。いま論じるべきは、方向性の是非では全くない。繰り返し言うが、違う方向性などあり得ないのだから。

 本田圭佑及びザッケローニについての総括は、『SportivaブラジルW杯特集号』にも書いたが、僕がいま一番言いたのは、負けをしっかり受け入れることだ。そこから目を反らさず、大真面目に反省する。新監督を決める前にすることは、実はたくさんある。そこのところを端折(はしょ)って先に進もうとすれば、4年後、同じ過ちを繰り返すことは目に見えている。

 そもそも、技術委員長とは何なのか? 専務理事とは何なのか? 原さんに任命責任はないのか。責任は取らなくていいのか。新技術委員長に就任すると言われる宮本恒靖氏にはどんな権限が与えられているのか。ザッケローニに影響力を発揮できなかった原さんのようでは存在意義がない。僕はそう思う。

スポルティーバ増刊 ブラジルW杯・特集号 好評発売中!>
  

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る