W杯で酒井高徳が触発された「内田篤人のプレイ」

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • photo by JMPA

 とはいえ、酒井高はサブという立場にあって、ベンチから声を出したりして、レギュラーメンバーのサポートをすることだけが、チームの勝利に貢献することだとは思っていなかった。

「練習はもちろん、試合中に声を出して、チームの雰囲気を高めるのは大事なことだけど、単なる"盛り上げ役"だけにはなりたくなかった。自分もW杯に出場できる、一選手だと思っていたので、練習では試合に出るために、しっかりとアピールしてきた。試合に出場することがチームへのいちばんの貢献になると思っていたので、そこはブレずにやっていけたと思います」

 結局、日本はグループリーグ敗退。酒井高はW杯のピッチに立つことはなかった。出場時間"ゼロ"という数字を、彼はどう受け止めたのだろうか。

「自分の実力が、23名の中ですごく劣っていた、ということではないと思っています。どんな試合でも出られる選手と、監督の考え方や対戦相手によって出られない選手というのがいる。そうした状況の中で今回、自分はたまたま(出場時間が)ゼロだったということです。ただ、サブの選手がピッチでプレイしている選手と同じ力で戦える重要性を、改めて感じたのも事実です。試合に出ていた選手は3試合こなして、すごくきつかったと思うけど、そういうときに力になれなかった。それが今回、サブとして欠けていた部分であると思っています。だから、今大会を終えて思ったことは、チームに常に必要とされる選手になりたい、ということです。先発であろうと、途中出場であろうと、そういう選手になりたい気持ちがすごく込み上げてきた」

 チームに必要とされる選手。いわゆる主力になる、ということである。日本代表のレギュラーになるにはライバルとの熾烈な争いは免れないが、どうやって自分のステイタスを高めていくつもりだろうか。

「方法はいろいろとあると思います。自分の課題を修正することも大事ですけど、僕は自分の長所を伸ばすことで、レギュラーをとれるチャンスが来るかな、と思っています。あとは、一試合一試合を大事にして、自分の何がよくて、何が悪かったのか、きちんと検証し、反省すること。そして、それをいつも頭の中に入れて、日々の練習でトライしていく。そうやって試行錯誤を繰り返しながらやっていくことで、自分の成長につながると思うし、力もついてくると思う」

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