ふたりの漫画家がブラジルで考えた「日本らしいサッカー」とは?

とり・みき まさにそれが国民性の違い。ゴールを決めるといいけども、シュートを外すと「あーあ......、やっちまった」って言われがちな、あるいは自分でそう思いがちな国民性なんですよ。

ヤマザキ
 外国人の目から見れば譲り合い的なサッカーで、「そこでもうシュートでいいじゃん!?」っていうところでもパスする。

とり・みき 今回(VSギリシャ戦)も、ゴールまでのスペースが空いているのにパスしてるシーンが何度もあった......、とファンが口で言うのは簡単だけど、選手のほうがそんなことは百も承知なんだと思うんです。そこが空いているということは、そこにしかシュートが打てない。つまり、キーパーはそこさえ警戒してればいい。だから、その裏をかいて逆方向にパスを出してシュートしたほうがゴールできる可能性は高くなる。

ヤマザキ
 そんなに理詰めで考えてるものなんですか? サッカーをしながら??

とり・みき
 はい。もう少し馬鹿になってもいいよね(笑)。ギリシャ戦はマン・オブ・ザ・マッチを本田圭佑選手が取ったんですけど、普段の本田選手よりもひどく消極的でした。ギリシャがガチガチに引いて守っていたので、なかなかパスの出しどころもこじ開けどころもなかったとは思いますが。

ヤマザキ 日本もギリシャも、あれで負けたらグループリーグ敗退することがほぼ決定する試合でしたもんね。

とり・みき
 ギリシャは思っていた以上に日本を警戒していましたね。とくに前半は、フィールドのセンターラインから半分だけで試合をしていて、日本の選手も最終ラインまで敵陣に入っていましたから。

   ※      ※      ※

とり・みき
 じつは、今回ほど試合を見ていないワールドカップはないんです。なぜなら、いつもはテレビ観戦だから全試合を見ますけれども、今回は現地に来ているから、移動があったり他の予定があったりで、なかなか全試合を見ることができない。

ヤマザキ
 でも、実際にそこで繰り広げられている状況を自分で目の当たりにする機会は、滅多にないことですね。

とり・みき 試合そのものに加えて、いろんな国から来ているサポーターの雰囲気も大きいですよね。日本×ギリシャ戦も全然違う国の人が見に来ていて、ブラジルの人もたくさん見に来ている。その人達を観てるのが楽しい。

ヤマザキ 私は、もともとワールドカップとは関係なくブラジルがすごく好きだったんです。その国や地域に行って、そこのエネルギーや盛り上がりのなかに溶け込んでいくという入り方だったんです。ポルトガルの時も、イタリアでもそうでした。

とり・みき すこし話を戻すと、さっきの国民性の話でヤマザキさんは「そういうところが日本は物足りない」と言ったけれども、トルシエとかザッケローニといった外国人監督が日本に来てむしろ感心するのは、他の国にはない自己犠牲的な奉仕精神と言うんですよ。ヨーロッパや南米のようなサッカーじゃなくて、日本人はそういう特性を生かしたサッカーを目指すべきだ、と。

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