コロンビアに惨敗。だが日本の方向性は間違っていない

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 目指すところとは違った内容に終始した今大会について、「(これまでの準備のなかで)何かを変えられるとしたら精神面。この経験を踏まえて、心の準備の部分を変えると思う」とザッケローニ監督。特に初戦のコートジボワール戦は腰の引けた姿勢が目立ち、確かにメンタル的には十分なケアをして選手を送り出したとは思えない。

 しかし、本当の要因はもっと根本的なところにあるように思う。

 昨年あたりから迷走を始めたチームは、かつてのような安定したポゼッションを失っていた。それを取り戻せないままに新戦力を加え、最後は大久保嘉人をサプライズ招集。ある意味で偶発的な化学変化にかける一か八かの勝負に戦略は傾いていた。

 それは実際、ピッチ上の戦い方にも表れている。

 前線の選手が自らのポジションを忘れ、それぞれが勝手に動き回る。そんな様子は3試合を通じて見えていたものだ。これではボールを支配し、主導権を握ることなどできるはずもなかった。

 やはり、チームづくりの過程において問題を抱えたまま、大会に臨んでしまった印象は拭えない。

 ただし、今大会の結果が出た現在、一番怖いのはポゼッションサッカー志向自体が否定されてしまうことだ。すなわち、日本にポゼッションで圧倒することなどそもそも無理だった、といった類の話である。

 確かに今大会で日本は惨敗を喫した。大会に臨むアプローチには問題があっただろう。

 それでもポゼッションを志向すること自体、日本が進むべき方向性としては間違っていない。そこは今大会の失敗と結び付けて考えるべきではないと思っている。

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