奇跡にかけるコロンビア戦。主将・長谷部誠の「決心」 (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by JMPA

 攻撃でも随所に積極的な姿勢が見られた。ボランチの山口蛍から1トップの大迫勇也にタテパスを当ててサイドに展開したり、相手アンカーの横のスペースに入ってきた選手に素早いパスを入れたりして、2列目の右サイドで先発した大久保嘉人や大迫らが前を向いてボールを受けたときには、決定的なチャンスが生まれていた。長谷部は「この流れなら、ゴールを奪える」と思っていたという。

 だが、前半38分、ギリシャのMFカツラニスが長谷部を倒し、2枚目のイエローを受けて退場すると、試合の流れが一変した。ひとり少なくなったギリシャは、システムを4-4-1に変更し、ゴール前に人を固めて、より守備重視の戦いにシフトしたのだ。

 おかげで、ボールの支配率では日本が圧倒的に上回った。見た目には日本の有利は明らかだったが、守りに徹したギリシャの術中にはまってしまった。

「相手は10人になり、守るしかなくなって、守備的な選手をさらに入れてきた。そこで、自分たちは戦い方を変えることなく、とにかく自分たちのいい形を出そうとしたけど、相手にあれだけ引かれてしまうと、なかなか崩すのは難しい。(日本は)シンキングスピードを速めて、ボールを動かす際の強さや速さがもっと必要だった。最後のところ、相手を崩し切れなかったのは、日本の攻撃力がまだ頼りないのかな、と思います」

 長谷部は、前半だけの出場で遠藤保仁と交代。残りの45分間は、ベンチから戦況を見守ることになった。

 後半は、まるでハーフコートマッチのようだった。ギリシャ陣内で日本が終始ボールをキープしていた。しかし、前半ほど多くチャンスを作ることはできなかった。

「(後半も)サイドから崩していこうという話はしていたけど、相手が完全に引いた状態で、難しいゲームになっていた。とにかく、自分は祈るしかなかった」

 結局、長谷部の祈りは届かず、試合は0-0のまま終了した。

「前半、11対11の状態ではいい形が作れたけど、相手がひとり減ってからの戦い方には、多くの課題が残ったと思います。やはり、ポイントは前半だった。チャンスは作れていたので、自分たちが決め切れなかったのが、大きかった。そこは、チームとしても、個人としても、悔いが残ります」

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