他国の選手にあって日本代表にないもの。ギリシャ戦全選手採点

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by JMPA

 怒りというものをまったく表現できていなかった。ギリシャのスロープレイにブーイングを送っていたのは、スタンドの8割以上を埋めた第三者だった。第1戦でもそうだったのだけれど、これはまったく滑稽な風景だ。第三者の大部分を占めるブラジル人に、日本の応援風景は恐ろしく奇異なものに見えただろう。

 日本国内の反応はよく分からないが、もっと悔しがるべきだと僕は思う。選手の尻を叩き、喝を入れるべきだと思う。日本人みんながみんな、ぬるま湯に浸かっている。僕にはそう見える。ザックジャパンの不甲斐ない戦いぶりと、それは深い関係があると思う。

 サッカーは陣取りゲームだ。陣を奪いながら前進していく競技。しかしながら、日本が見せたそのパスサッカーはこの本質から大きく外れていた。ボールがなかなか前に進まない。その隙に相手に帰陣されてしまう。

 試合後の会見で、ザッケローニは「パスワークなど、攻撃にスピードが欠けていた」と述べたが、それ以前の問題として、選手にバイタリティがなかった。その理由について質問されたザッケローニは言葉に窮したが、理由はとても分かりやすい。

 スタメン選手の中には体調が戻らない選手がいる。一時より明らかに力が落ちた選手もいる。コンディションが悪そうな選手もいる。テンポがスローになるのはそのためだ。

 力強さ、馬力、元気、勇気、前に出る推進力......等々が、日本のサッカーには思い切り不足していた。他国のサッカーと比較すると、とても貧弱な大人しいサッカーに見えた。

 本田、長谷部、遠藤、岡崎、香川、山口、内田。

 日本の中心選手には、ドリブルで前に出る力がない。彼らの言う「我々のサッカー」にそれがない。ボールを捌(さば)くだけのプレイが何と多いことか。彼らの描くサッカーのイメージは相当偏っている。サッカーの本質から外れてしまっている。一番悪いのはそれを肯定してきたザッケローニだが、日本サッカー界としても、考え直すべきだろう。

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