長谷部誠が逆襲宣言。「全員が『いける』と信じている」 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • photo by JMPA

 長谷部の言うとおり、先制点を奪ったあと、チームは消極的になった。それは「(1点を)守り切りたい」という気持ちもあったのだろうが、それにプラスして、ミスが多くてカウンターを食らうシーンが頻発。なかなかリズムに乗れなかったこともある。

「う~ん......、確かにミスから(相手に)ボールを引っ掛けられたりして、簡単にボールを失う場面が多く、そこからピンチになっていました。あとは、僕らボランチの重心を含めて、全体的にラインが低かったから、ボールを奪う位置も低過ぎた。結果、そこから相手のゴール前に行くまでに手数をかけ過ぎて、ボールを奪われる、という悪循環に陥ってしまった。チームとして、もう少し全体をコンパクトにしてやらなければいけなかった」

 それでも、前半はなんとかピンチを凌(しの)ぎ、1点リードで終えた。長谷部は後半9分、遠藤と交代し、ベンチから戦況を見つめることになった。

 それからすぐ、後半19分、21分に日本は立て続けに失点し、逆転された。崩されたのは、日本の左サイドだった。そこは、序盤から相手に狙われていて、日本にとって危険な"火種"になる気配があった。長谷部自身は、どう見ていたのだろうか。

「うちの左サイドは攻撃的だし、そこの裏を相手が狙っているのはわかっていました。前半も(相手の)右サイドの選手が攻撃のあとも攻め残りをしていて、そこは自分がカバーしながらやっていたんですけど......。失点シーンに関しては(相手に)センタリングを楽に上げさせ過ぎだし、中央の守備もマークが外れていた。そこは、自分たちが注意してきた部分でもあったので、やられ方としてはよくなかった」

 日本はその後、FW大久保嘉人を投入するなど、同点に追いつくための手段を講じた。最後はセンターバックの吉田麻也を前線に上げて、練習でさえしたことのなかったパワープレイまで試みた。だが結局、追いつくことも、試合をひっくり返すこともできなかった。攻撃的なサッカーを標榜しながら、後半はチャンスらしいチャンスを作れぬまま、敗戦した。

「自分たちのサッカーを表現できなかったし、試合の中で、自分たちでうまくいかない部分を修正することもできなかった。それは、自分たちが未熟だったから。試合でうまくいかないときに、指示を出してリズムを変えていくのが、リーダーとしての自分の役割。それだけに、自分の責任は大きく感じています。負けたという結果はもう変えられないので、今は気持ちを切り替えつつ、チームの修正点を見つめ直したい。そして、自分たちのサッカーをする、ということに全力を注いでいきたい」

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