日本代表に風雲急?本田圭佑に何が起きているのか (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 これはいまに始まった問題ではない。日本サッカー界の長年にわたる課題になる。それが最近あまり取りざたされなかった理由は、本田圭佑の存在と大きな関係がある。彼には、従来の日本人にはないパンチ力があった。かつての名選手、釜本邦茂さんを彷彿させる強シュートがあった。ゴルファーで言えば飛ばし屋。野球で言えばホームランバッター。巧さと同じくらいパワーがあった。ボクシングに例えればミドル級以上。シュートに限った話ではない。すべての動きに重厚感、スケール感があった。本田ジャパン。ザックジャパンは本田のワンマンチームに見えることさえあった。

 だが、キプロス戦、コスタリカ戦のザックジャパンは、すっかり本田ジャパンではなくなっていた。本田の動きに、もはやかつての面影はない。スケール感に乏しい、軽くて小さな従来の日本的な選手になっていた。

 4-2-3-1の1トップ下。だが、1トップに接近した高い位置で構える時間はほとんどない。中盤の低い位置に下がって、細かな繋ぎに終始するばかり。以前より、踏ん張りが利かないので、なんとか小手先で誤魔化そうとするが、ボールを奪われることもしばしばある。

 人が変わってしまったようでさえある。老いて、萎(しぼ)んでしまったように見える。もし、これから本番までのわずかの間にかつての本田に回復したら、これまた驚きだ。事件に相当する。だが、おそらく元に戻る可能性は少ないと思われる。

 本田には、大久保や岡崎、香川のような俊敏さはない。したがって動きは人一倍鈍く見える。足を引っ張る存在にさえ見える。

 彼の身の上にいったい何があったのか。何もないはずはないと思う。

 4年前。本田は最後の最後に来て、主役の座に躍り出た。本番を10日後に控えたこの時期は、確か、中村俊輔との併用は可能かとの議論が話題を集めていた。それが南アフリカW杯の初戦を迎えるとチームは一転、「本田ジャパン」に激変した。本田はセンターフォワードで中村俊輔はベンチ。時の監督、岡田さんは、本番直前に重大な決断を下すことになった。

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