コスタリカ戦、前半の戦い方に日本代表の光明を見た (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 実際、指揮官は前半についても高い評価を与えているわけだが、それどころか、むしろ前半にこそ、日本がワールドカップで実践すべきサッカーが表れていたのではないか。

 前半はコスタリカの虚を突く形で、とにかく速いテンポでボールが縦に入った。にもかかわらず、なかなか決定機につながらなかったのはなぜか。

 そこでは、いつもに比べてテンポの速い縦パスに前線の選手が対応し切れず、1トップの大迫勇也がボールを受けても2列目の香川真司や本田圭祐のサポートが遅れる、という場面が少なくなかった。大迫が落としても「3人目の動き」でDFラインの裏を狙う選手がおらず、せっかくの縦パスが効果的な攻撃につながらなかったのである。

 逆に、青山に代わって遠藤保仁がボランチに入った後半は、よくも悪くもスローダウン。その結果、各選手に時間的な余裕が生まれ、タイミングを計ることができるようになった分、相手DFラインの裏を狙う動きは増えた。一見すると、前半から一歩前進したようにも見える。

 しかし、時間をかけすぎる分、相手にDFラインを押し上げる余裕を与え、今度はオフサイドの山を築く結果となった。3ゴールを奪ったとはいえ、それは「ワールドカップ本番を想定して交代は3人までにした」(ホルヘ・ルイス・ピント監督)というコスタリカの運動量低下によるところが小さくない。

 むしろワールドカップ本番で勝ち上がろうと思えば、前半のような早いタイミングで縦パスを入れながらも、それに合わせて前線の選手がコンビネーション――例えば、縦パスを受けた大迫が本田に落としたら、その瞬間に香川が裏を狙って飛び出す――をつくり出す必要があるだろう。

 そしてそれは、攻撃において何度も横パスをつなぐことをよしとしないザッケローニ監督のイメージするサッカーにも、より近いのではないだろうか。

 確かにスピードを上げようとする分、前半のほうがミスは目立ち、ピンチも多かった。それでもザッケローニ監督は「ポジティブなメンタリティを見せてくれた」とコスタリカ戦を振り返り、こんなことを話している。

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