豊田陽平、W杯日本代表入りにかけた半年間を振り返る (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFLO

 北京五輪はアジア予選に出場しておらず、"末脚(すえあし)で差す"という逆転のメンバー入りだった。それだけにブラジルW杯に向けても、代表メンバー入りの可能性を信じていた。

<やりきって、"それでだめならしょうがない"という境地までやる>

 彼はそう腹を決めていた。2013年シーズンはJ1で20得点の大台に乗せていたが、ちっとも満足していなかった。

「(発表までは)目の前の一戦にどれだけ準備できるか。先の試合なんて考えない。先のことを考えていたら、頭がパンクしちゃう。戦いの場所は常に目の前。自分をW杯日本代表に選んでくれるまで、ゴールをとり続けるしかないんです」

 豊田は誓うように言った。

 1986年生まれの豊田は身長185cm、体重79kgと大柄で、脚力と跳躍力に優れる。ファーポストに流れて強いヘディングシュートを打ち込める日本人FWは、彼しかいない。

「ボールをゴールに叩き込む」

 そのパワーにおいて、豊田は図抜けている。彼自身、その迫力には自負があるし、それを極めてもきた。鳥栖の韓国遠征で地元クラブと対戦すると、「腰が強く、ファイトできる。韓国代表のセンターフォワードに欲しいタイプ」と韓国人関係者からしばしば絶賛されるほどだ。屈強なプレイスタイルは、大陸的な匂いがする。

 2011年にはJ2得点王、2012年にはJ1で19得点、Jリーグベストイレブン受賞、2013年には20得点と、目に見える記録を叩き出してきた。2014年も開幕の徳島ヴォルティス戦で2得点した後、好調を維持していた。

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