【なでしこ】アジアカップ初制覇の裏に、主将・宮間あやの奮闘あり

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 結局、MVPを獲得した宮間始め、阪口、川澄奈穂美、岩清水といったベテラン勢が体力の限界まで力を振り絞り、粘り抜いて、掴んだ優勝という印象が強い。大会期間中、試合日翌日には、主力が参加しないサブ練習にひとり宮間の姿があった。直訴してのことだった。

「ひとつになるにはサブ練習が本当に重要で、だから自分もそこに参加したかった」という主将は、延長戦にまで及んだ中国戦の翌日だけ、『休養を優先すべし』と、合流が許されなかった。

 その日の役割は福元に任せ、変わりに選手たちの給水用のペットボトルにひとりずつメッセージを書き込んだ。必死に引き上げようとする宮間らベテランに若手はどう応えたのか。初めての大会、自分のことで精一杯であることを差し引いても終始受身の姿勢だったことが残念だ。"獲ってもらった金メダル"を自分のモノにできるかどうかはこれからの彼女たち次第。選ばれてここに立った選手たちだからこそ、必ずその答えを自分で見つけ出してほしい。

「本当の一体感かといえばそこまではいっていない」(宮間)

 ワールドカップ、オリンピックで一体感の大切さを学び、それがパフォーマンスに多大な影響があることを身に染みて分かっている宮間だからこそ、この言葉の意味は重い。

 それでも「それぞれ伸びしろがまだまだあるので今日の出来は90%にしておきます」と笑った宮間。ピッチ内外で奮闘した主将が導いたアジアカップ初制覇は、それぞれに想いを残し、新たな歴史としてしっかりと刻みこまれた。

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